医学生からの感想(2021年度)
群馬大学精神科神経科での臨床実習を経験した医学科5年生・6年生に、実習終了の際に感想文を書いてもらっています。
学生の皆さんから許可を得て、その中のいくつかをご紹介します。
外来で初診の問診をさせていただく、入院患者の診察をさせていただくなど患者さんに触れる機会が多く、精神疾患について生きた知識を身につけることができた。指導医の方から改善点や補足なども丁寧にしていただき、非常に充実した4週間だった。
いわばオーダーメイドの治療が精神科神経科においては特に重要となってくることを学んだ。そのオーダーメイドの治療を行う上で大切となってくるのが対話であることも改めて理解することができた。対話は、疾患の特定のための情報収集という意味合いに留まらず、それを進めていくことそのものが治療的側面を持つことは私にとって新しい考え方だった。
患者さんに寄り添える医師になりたいと考え医学部に入学しましたが、解剖や生理学や生化学の基礎医学や臨床的な疾患を学びCBTに向けて知識を詰め込む中で、疾患=紙面上の知識になってしまっていました。紙面上の知識の向こうに患者さんがいて、その患者さんの気持ちや考えまで自分の考えが至っていませんでした。必修実習のこの早い段階で精神科を回れたことはラッキーだったと思います。精神科の実習を通して、医療者は治療を通して患者さんの人生を伴走するパートナーだということにこの早いタイミングで気づくことができたからです。
医学部に入るときに面接官から理想の医師像について尋ねられ、私は「医療者として患者さんの病気を治すだけでなく、その人がその人らしい人生を治療後も送っていくことができるような医療を提供することができる医療者になりたい」と語っていましたが、まさにその理想の医師像を精神科の先生方が体現なさっていました。医療に必ずしも正解はないと思いますし、同じ病気や症状であってもその病気を持つ人の分だけアプローチの仕方は変わってくると思います。大事なことはマニュアル通りの医療を展開することではなく、その「ひと」を思い続け、二人三脚でその「ひと」の未来を一緒に考えていくことこそに医療の本質があるのではないかと思いました。